夜の2時でも公転したい

セーラー服にベレー帽

#tanka ここまでの自撰首

太字は特薦

 

おれはおれである実感がなかった インドにはインド洋があった (4/4)→実存が危うい時の、非常に大きく安定したものへの信頼

浜(誰かが二度とはかれることのない靴の下駄箱にしてしまった) (4/5)

完全な存在になってしまうよ完全食ばかり食べてたら (4/8)→肉食文化によって人類は温厚さを維持しているという仮説へむけて

いま部屋に、触ると熱い糸くずが落ちているけど、それは歌だよ (4/13)

(食べたことがない食品はいつまでもありつづけるが)小さな世界 (4/21)

すべて仕組まれた闘争だとしても消しカスを教卓に積みなさい (5/1)→「子供の領分」(ドビュッシー)を聴きながら

やがてここを去ってしまう春や首筋をペーパーナイフで撫でる (5/16)→首という言葉から詠み始めたので、首と筋との間に大きく韻律の断絶がある

朝粥はそれ自身円形であり大星雲にもなりうるから (5/20)→我々が無意識に実感している、主食を容れる器が丸いという事実、粥の粒粒、それらが急速に肥大化し宇宙的感動へと変わりゆく姿

逆に何にも許せない人向けの絵ばかり飾られたルーブルだ (6/3)→テーマ「何でも許せる人向け」

優しさだけが世界の全てではない薄氷みたいにうどん踏まないで (大学短歌会にて)

書きかけの下ネタ帳を裏返し忘れたことも忘れる海だ (大学短歌会にて)

標語県は良い標語にあふれていて誰も関西弁を知らない (大学短歌会にて)→温かい嫌悪というものをイメージしながら

おまえはもう処女でないのだペヤングのやぶかれた湯切り口を見せる (大学短歌会にて)→テーマ「死に似ているが、死ではないもの」