夜の2時でも公転したい

セーラー服にベレー帽

#tanka 6/22 連作:“紹介”

単語と、その定義をテーマとする連作

定説によれば霊ですが、信号の生まれる前の姿が蛍

自らを責めてブラウン管は茶けていきもうない電電公社

ありもしない世界線からやってきた白饅頭を示すことわざ

深海は神聖なのでよく聞くといま空白が彼らの言語

木漏れ日の無い世界にも日漏れ木はおそらく在ってきっとネバダ

藤棚=藤を収納できる棚なのにどうして淡い光が

なぜ自分がインターネット上で惚気話をするのか

兼ねてより自分のTwitter大学アカウントにて惚気を続けていましたが、多くのフォロワーから批判や中傷があり、また惚気話が原因で彼氏を失ったりもしたので、これについて言及させていただきます。

 

3位 多様な恋愛観を見せつけるため

何事もそうですが、恋愛にも「こうでなければいけない」という憲法はありません。どのような交際形態であれ、パートナーシップに遅すぎるという文言は無く、等しく尊重されるものです。また、人間の精神・感性の発達は個人差が大きいため、同じ発達度合の人間のペアリングは歓迎されて然るべきでしょう。しかし大学界隈はカスなので極めて成熟した人が多く、「あまり幼稚な恋愛をしたくない」という持論を持つ人が少なくありません。ここで自分がメスガキのように暴れることにより、それまで自己を厳格に律していたせいで彼女ができなかった内気なオタク共に「こんなやつでもパートナーと出会えるんだ」と勇気を与え、出会いに対する希望を持たせることができると考えています。

 

2位 何事もツイートしないと気が済まないから

自分は普段、行動・考えたこと・感じたことを文章にすることで、毎日の発想を鮮明に保つとともに精神を平静に近づけています。(また、自分は本来社会性が全く無いので、Twitterを通して学生の多様なコミュニティを覗き、同世代とのコミュニケーション方法を画策しています。)そして、恋愛も生活の一種であるため、惚気話は生活話の延長、つまりツイートして当然の事象なのです。

 

1位 オタクが狂ってるのを見るのが好きだから

オジサンは、自分より精神的劣位にある(と想定したはずの)人間がパートナーを見つけてはしゃいでいる様子に、激しく嫉妬・軽蔑の表情を見せる限界オタクくんが大好きだヨ‼️‼️かつては、自分も“そっち側”だったし相当苦しんでいたから、いざ人間と付き合ったら絶対惚気話をやりまくろうって、思ってたんだよネ💕😆ラブラブツイート、楽しいヨ😘不快だったら、ミュートよろしくね❗️

 

自分からは以上になります。

悔いの無い人生を送ることに、恥辱は必ず付随します。たまたま僕は恥の感覚が薄いので、大胆に行動してしまうだけです。皆さんはどうか僕のようにはならず、淡々とインターネットを行い、内密に恋愛を楽しんでください。

#tanka 6/3

逆に何にも許せない人向けの絵ばかり飾られたルーブル

つぶれた遊園地の名前を冠した駅の数だけ怨霊はいる

手首には数字が無くて僕たちは泣く泣くピョ立大学を蹴る

黒い海をはやくわたれ県道でパの字のネオンランプが切れる

こんなにも美しい梅雨の日の朝にやるマリファナ誰かの分娩

#tanka 5/20

侵略は進んでいますほら食事容器にはタコ状の彫像

おい、小池!と呼んでそして数本の標識だけが取材に応じた

これも生殖の練習、生殖の練習なのだとピーマンを食む

死ぬ前に何か残していた人が文末によく入れるスペース

ポエジーのある単語ではないと言い花が教師を指差している

朝粥はそれ自身円形であり大星雲にもなりうるから

クラインの壺を落として割ってから何度目の入学なのだろう

始まりや終わりを知覚するのには君の性器は大きすぎます

妙に仄暗いぐらいがふさわしい僕の布団にしかし鮮血

人よ(微笑しないでほしい 古井戸の底から上を見ただけなのに)

#tanka 5/16

壊れたら叩いて直す旧石器時代のテクノロジストになった

生きていない人が住んでいるのですか油汚れの無い換気扇

やがてここを去ってしまう春や首筋をペーパーナイフで撫でる

ただひとつの一等星だ上海で二度とできないみつけるをする

黒土を割って咲くハナニラの花でない部分に似てる無でした

#tanka 5/1

すべて仕組まれた闘争だとしても消しカスを教卓に積みなさい

長い必殺呪文を作れた時のアルコールランプの炎の揺れ

中にビー玉のあるガラス容器は鈍器ではない夏の間は

これは風、風だから鞄の中に私は全て持ってきています

誰も自分と似つかない日(蜉蝣の音読みは浮遊と同じです)

十分に若いから夜の2時でも公転したい月なのだろう

#tanka 4/21

桜、残像が本体なんすかね 取り替えられないポスター 穀雨

望まれていないイクラを生み出して口元だけで笑うスポイト

自覚なく常に何かに飢えすぎている物置の置き物たちよ

(食べたことがない食品はいつまでもありつづけるが)小さな世界

生きていることと生き生きすることとの錯誤がある チークを捨てる

「われながらよくできました」の判子を隙間無く押されたカレンダー

守るべきものが無くなった卵の殻の分まで夕餉をせつなむ